京都のおせんべい屋さん、蕪村庵をご存じですか?
こぎ父が時々、自宅用に【蕪村あられ春秋】というのを買ってきてくださっていてよくいただくお菓子です。
蕪村庵さんのことは全然何を知っているとは言えないのですが、【蕪村あられ春秋】がらっこは大好きなので見せびらかそうというだけのページです。
個包装の袋がこちら。
透け感のあるきれいな袋なんです。
大袋がこちら。
俳句が何種類か印刷されていたりするのですが、らっこ、読めません。
で、この袋の中にぎゅうぎゅうと個包装が入っているのです。
袋入りなのでこぎ父は自宅用として買ってきてくださっていたようなのですが、自宅用のお菓子にこんな冊子が入っていますでしょうか……
たぶん……
たぶんですけど贈答用なんじゃないかと、たぶん。
(本式の贈答用には箱や缶が選ばれているのかもしれません)
らっこは妄想力で商品のしおりを眺めるだけでもいい気分にひたれます。
ではでは、個包装を開けてみましょう。
四角い透明プラスチックのトレーに小さなおせんべいが詰まっております。
ふだん、らっこがいただくときにはお皿は用意しませんが、写真を撮るならとお皿に広げました。
見てくださいませ。かわいい~。
8種類のおせんべい。
形も味もいろいろです。
8枚あるのに不思議なもので、1番最初にパクっと食べるのはいつも決まっていました。
ピンクの桜~!
と思って食べていましたが、おせんべいのピンクといったらそうです、
海老です。
しかも花びらの先端が割れていませんね?
そうです、梅の形です。
おせんべいの断面を見せびらかそうと半分にかじってパシャリ。
もちろん普段は一口でパクリ。
角の無いおせんべいを口の中でぱりぱりぽり。
不思議なのですが、何度食べても「あぁ、美味しいなあ」と思いながら咀嚼するのです。
1枚目に食べる味は決まっていましたが、2枚目以降はその時の気分。
四角くて薄いこのこは昆布です。
塩味ですね。
らっこの舌には昆布の気配を感じ取れるセンサーがなくて残念です。
いつも塩味だと思いながらいただく昆布せんべい。
海苔です。
何しろおせんべいが一口サイズで小さいので、海苔があっても口の中の水分が奪われるほどではありません。
ただの「海苔」だと思っていましたが、海苔巻きでした。
ひっくり返しても海苔が巻いてありますよ。
きらきらおしゃれなおせんべいの中の、丸いだけで網目の焼き色がついただけのこのこはそうです。
サラダです。
らっこはサラダに和みます。
やっぱこれだねって。
ピンクの海老さんよりも心なしか厚みがあるような。
厚みは同じでも、形のせいでそう感じるのかもしれません。
このこも好きなのです。
甘じょっぱい。
最初に食べるのも最後に食べるのもなんだかもったいないような気分がして、いつも間にいただくこのこ。
刻んだ海苔がくっついている、このこが海苔です。
海苔巻きは四角い薄いおせんべいに巻かれていて、刻んだ海苔のこのこは丸くて厚いおせんべいに散らされています。
肝心の海苔の気配はあまり感じ取れないらっこは、あまじょっぱいお醤油味がたまらなく好きです。
バリバリむさぼり食べたい。
星形と思って食べていましたが、紅葉です。
たいていはもっと形が紅葉型にキレイになっている印象だったのですが、このこはちょっといびつに見えました。
お、珍しいなと思ってお構いなくパシャリ。
点々が見えるのはあおさのりですって。
お醤油味だと思って食べていましたけれど、色はお醤油っぽくないですね。
あおさのり味ということで。
海苔好きのらっこには、このこはいい香りなんです。
ひとつ前に食べた海苔よりも甘さと醤油感が控えめでほんのり香っているような気分に。
六角形のおせんべいって、ほかで食べた記憶がないんですけれど、このこはごまですね。
薄くて食感が軽くておいしいのです。
表面のテヤテヤ感も好きです。
何が反射してテカって見えるのでしょう。
油?砂糖?
薄いおせんべいです。
8枚目。最後の一枚。
いつもらっこが最後にいただくのはこのこです。
ざらめ。
甘くてほんのりしょっぱくて甘い。
最後の一口のお楽しみです。
テヤテヤしていたごまと一緒で、このこもピカピカしています。
ざらめの粒感があまりうまいこと写真に写せていないことが残念。
薄いですし見た目も四角で何でもないような一枚のおせんべいなんですけれど、美味しいんです。
らっこ大好き。
きれいだなぁ…って小さなおせんべいを眺めて口の中にパクり。
8枚を食べきるまでには、喜びとなごみと満足感と名残惜しさと、感情の波が地味に毎回あったりします。
あぁ、もう一袋食べたい(でもぐっと我慢。次のお楽しみ)
ごちそうさまでした。
1袋8枚で満足するのかというと、お菓子大好きならっこといたしましては満足はしません。
むしろ食べ終わってしまった時に感じる寂しさがどうにかならないものだろうかと。
とまあ、
まるで今食べていたかのような書き方をしてまいりましたが、らっこ、もう、1年以上蕪村あられ春秋を食べておりません。
こぎ父が買ってきてくださっていたデパートが閉店したのです。
らっこの小さな世界の中では、この閉店は大きなショックの一つでした。
食べおさめだと思って写真を撮りながら撮りためていた写真を久しぶりに眺めていたら、味の記憶がよみがえってきてしまいつい……つらつらと書き始めてしまったのでした。
思い起こせばこぎ母の入院中。
慣れないお台所で食事の片づけを済ませ、ふぅっと一息ついて椅子に座り、一人で静かに、時々ラジオを聴きながら一人で、こっそりひっそり蕪村庵をいただくのが一時らっこの習慣になっていた時期がありました。
みんなで食べればいいのにねえ?
流しの水を拭き切って、何故か人がいないといつもより暗く感じられるお台所で、ひとりで、ぱりぱり……
ひとりでぼんやり……美味しいなぁって……
らっこには大切な時間だったことを思い出していました。
おせんべいにまつわる思い出はまだいくつかあるのですけれど、胸にしまっておくことにします。
今でも片付けが終わると何か食べたくなるのはどうにかなりませんかね。
以上、らっこが大好きな蕪村庵さんのおせんべいを見せびらかしました。
読んでくださりありがとうございます。