ちょろぎ。
ご存知ですか?
らっこは、名前と見た目は知っていました。
ツレがですねツレがですね、知らなかったそうなのです。
お正月になると母親が買ってくれて、お皿にちょこんと乗っているのですが、美味しくてパクパク食べると、あっという間になくなってしまうあれです。
何年か前、すでに20代になっていた頃だったと思うのですが、母親からそこそこの金額を預かり、「お正月のあれこれを買ってくるように」というお使いをしたことがありました。
単純に、かまぼこや伊達巻の値段に驚いたものでしたが、ちょろぎが高かったのです。
イトーヨーカドーでした。
ほんのちょぴっとしか入っていないのに、ひとつだけ買って帰ったその年は、ちょろぎが少なくて寂しかったこと。
次の年、生協かどこかほかのお店では、倍以上の量でもう少し買いやすい値段もあったことに気がついたり。
そんなことを思い出しました。
12月29日。
年内最後の買い物をしようとスーパーへ。
すっかり正月商品で埋め尽くされたスーパーの棚から、ちょろぎを発見。
「あっ、ちょろぎがありますよ。買っていきましょうか」
「???」
「ほら。ちょっと赤さが強くてううん。赤すぎますけど、買ってもいいですか?」
「ん?ちょろぎって何?」
うおっと。
「あれ?お正月に食べたことありませんでしたか?
黒豆と一緒に出したりするみたいなんですけど(らっこの実家では、黒豆とは別でした)、
お正月のなんかですよ?(もやッとしている情報だなっ)
生姜の根っこみたいな?(イメージだけの情報だなっ)。」
「そうなの?全然知らない。でもまあ、いいんじゃない?買ってみたら」
ツレのOKをもらって買い物かごへ。
それにしても、赤い。
もう少し、自然な赤みのほうが、らっこは好きです。(紅生姜みたいに)
そして家に帰ると、なんだか気になったのでこぎ父に聞いてみました。
「ちょろぎってご存知ですか?」
「うん?ちょーろぎ?何だろう?なあに?」
おうおう。
説明できません。
こぎ父は早速、電子辞書で調べてくださり、「あったよらっこさん。これだね」
電子辞書はしまってあるので、こぎ父の本棚の古い広辞苑から。
ちょろぎ(草石蚕)
シソ科の多年草。中国原産。高さ60センチメートル位。茎は方形。全体に粗毛を密生し、秋、赤紫色の唇型花を総状に開く。地下に生じる巻貝に似た塊茎は食用で正月の料理に用いる。チョウロギ。
『広辞苑(第二版)』(昭和30年)岩波書店
はい。
電子辞書の時も思ったのですが、辞書の説明がらっこにはかえって難しいという切なさ。
長呂儀はお正月用の当て字なのでしょうか。
広辞苑には載っていませんでした。
こぎ父が知らなかったとしても、昭和30年(1955)の辞書なので、昔からあったことだけはわかりました。
夕飯時、4人でちょろぎの話になりました。
「最初何を言っているのかと思ったよ。韓国の何かかと思った。なになにギってつくでしょ?」
・・・?トッポギのことかしら?
こぎ母もご存じなかったようで、ポカンとしていました。
大晦日に、こぎお兄さん(ツレ・こーぎーのお兄さん)一家がたずねてくださり、おせちをごちそうになりました。
こぎお義姉さんはちょろぎをご存じで、こぎ姪っ子さんもご存じでお好きだと。
100円ショップやお菓子のまちおかなどでも売っていること、黒豆にはちょろぎなんですよね~と、いろいろ教えてくださいました。
分量の割に値段が高いのも、正月価格であること、今回買ったパックのは大粒で立派だから相応だろうということなどなど。
らっこが、まさかきっと、ツレも食べたことはあるだろうと、名前を知らなかっただけじゃないかと話したら、
こぎお兄さんも実家では知らなかったらしいから、こーぎー家はみんな知らなくて、食べたことがないかもしれないということでした。
らっこも久しぶりに食べてみて、ちょっぴり期待ほどの食感の良さを感じられませんでしたが、甘くて酸っぱいあの感じは、やっぱりちょっと、お正月の特別感を感じられるひと品でした。
あ、ツレにちょろぎの味の感想を聞くのを忘れていました。
明日食べたときに聞いてみようかな。
ちょろぎはシソ科の植物らしい。
とりあえず、ぼんやりとしたらっこの知識に、更にざっくりとした情報が追加されました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。