『……負担だ――』
身も蓋もない言葉を選んでしまいましたが、飾った言い方をしても仕方がないので繰り返します。
『……複雑だ――』
要介護の家族がいる生活で、母の日に、生花が鉢植えで届いて思ったことを綴っています。
よかったら最後までお付き合いください。
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最初に届いたのはカーネーションの鉢植えでした。
こぎ母はデイサービスで不在。
運送屋さんから受け取ったのはこぎ父。
なんてお顔なのよ。
どうしようって……
『箱から出して置く場所考えるだけでしょう』
とは思っても言いません。
笑いをこらえるようにしながら、ツレに
カーネーションが届いたこととこぎ父が困っていることを報告。
ツレとこぎ父で箱からお花を出し、置く場所を相談。
お二人が話している間にらっこは説明文を読んでみました。
読む前も読んだ後にも自分がお世話をする気は 1ミリもないくせに、説明文の内容に気分が沈む……
らっこは何もやりません。
庭に鉢植えを持って出たツレが、「ここがいいんじゃないか?」といい場所に置いてくれました。
らっこもこぎ父も眺めていい気分です。
鉢植えを庭に置くと、気軽に眺められるカーネーションがなくなってしまいます。
「部屋用に一輪挿しをしよう」
ツレが一輪挿しをこしらえてくれました。
デイサービスから帰宅したこぎ母。
庭と食卓に飾ったお花を見ては
「これは土に植えたらいいんじゃない?」
とな。
カーネーションのプレゼントと母の日を繋げて捉えることはできなかったご様子でしたが、まんざらでもなさそうでした。
花が枯れたら植え替えを、たぶん……ツレが……やってくれるどろうと思います。
カーネーションが届いたのは母の日の3日前。
翌日、フライングで到着した花を眺めたこぎ母はショートステイに出発しました。
母の日の前日。
こぎ母が不在のその日、荷物を受け取ったのはらっこでした。
配達員さんは
「本当は午前だったんですけど、すみません」
とだけ言ってらっこに荷物を預け、颯爽と走り去っていきました。
午前指定でこぎ母宛て……???
!!!
どう考えても、2日前のこぎ父よりも明らかに困った表情でツレに対応を求めたらっこでした。
(2日前のこぎ父に謝りましたよね。心の中で)
さて、今度はどうしましょう。
こぎ母がこの日不在なことは、贈り主もご存じだったはずです。
なに?この時間。
とりあえず、紫陽花はすぐには庭に出さずに、こぎ母がショートステイから帰宅したらすぐに見られるように室内に置いておきましょうということに落ち着きました。
鉢植えの受け皿をどうしましょう。
スーパーで買ったトマトのプラスティック容器がちょうどいい具合に受け皿になりそうでした。
紫陽花の鉢植えはなかなか立派な大きさで、カーネーションの1輪挿しを飾った食卓に置いておける大きさではありません。
別のお部屋にこぎ父が飾ってくださりました。
こぎ母はお花が好きな方です。
ただ、今の状況は贈られたご本人がお世話をできる状態ではありません。
水やりの動作はできるだろうと思いますが、あくまで動作です。
水やりに適した時間に水差しを用意して、水を汲んで適切な水やりをする。
すべての行為に付き添いや声掛けが必要になるでしょう。
そもそも、なんでこの花がそこにあるのかを忘れてしまう毎日です。
『……負担だ――』
『……複雑だ――』
お花を飾っても感情は飾れないものです。
紫陽花を飾った部屋には小窓がついていて、廊下を歩くとチラリと視界に入り込みます。
チラリ。
チラチラ。
まったく現金なものですよ。
飾ってもらったお花を眺めては、結局喜んでいたりするのですから。
ショートステイから帰宅したこぎ母も、お花の前でにっこりですよ。
だから贈り主に伝える言葉は結局こうなるのです。
「ありがとうございます」
伝える言葉は一言でいいのです。
こぎ母が帰宅して3日たった日まで、毎日紫陽花を眺めては驚いて、
「ピンクの紫陽花なんて見たことない!生まれて初めてだよ!」
と少し興奮気味なこぎ母でした。
ね?
きれいでしょ?
庭のカーネーションも、結局庭に出さずに室内に飾っている紫陽花も、なし崩し的にこぎ父がお世話をしてくださっている状況です。
植物の世話に興味がないらっこで申し訳ありません。
ありがとうございます。
最後まで読んでくださったあなたにも、
ありがとうございます。