「明日は6時半に起きるよ」
昨夜ツレに尋ねた今日の予定です。
1階の台所で朝食の支度をしながら、時計に目をやりました。
6時38分
7時53分のバスに乗っていくのだと聞いていましたが、ツレはまだ起きてきません。
様子を確認しようとそっと2階の寝室の扉を開けると、普段通り、布団の上で寝起きの体操をしているところでした。
「おはようございます」
「おはよう」
寝室に入り、雨戸を開けようとする私を、
「まだ早いから開けなくていい」と言って止めます。
朝日が入らない暗い寝室を、ひとりそっと出て台所に戻りました。
しばらくすると、ツレも台所に降りてきました。
まだ少し目覚め切れていないような様子です。
炊き立てのご飯と納豆。
温めなおした残り物のシチューをお腹に流し込みます。
「眠い・・・」
よく眠れなかったせいか、時間が足りなかったせいか、ご飯を食べても、まだ思うようにシャキッとできない様子です。
ごちそうさまをして、温めたコーヒーを片手にツレは台所を出ていきました。
私が洗い物を済ませるころには、そろそろ出発です。
トイレを済ませて上着を羽織り、靴ひもを締め直して鞄を手に、
「それじゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい」
と私が言葉をかけたときには、もう後ろ姿でした。
いってらっしゃい。
なんだか私の方が緊張しているみたいです。
11時半を過ぎたころです。
がちゃん。玄関の戸が開く音がしました。
「ただいま」
「おかえりなさい」
ツレの帰宅です。
心なしか肩が下がってほっとした様子。
ツレよりも、私がほっとしたのかもしれません。
待っているだけの人間が緊張したところで何にもならないというのに、気持ちというのはやっかいなものです。
ツレが上着を脱いでパソコン前の椅子に腰かけたところで、面接がどうだったかを尋ねました。
実際の仕事内容、運転手というよりも、実際は受診者の誘導などの雑務がメインなのだろうとか、閑散期や繁忙期があることなどを聞きました。
本人の学びとしては、求人情報として掲載されていた内容は、
「いいことしか書かないんだな」
ということだったようです。
そりゃあそうだ。
情報を掲載するスペースは限られていますからね。
そんな理由ばかりではないのでしょうけどね。
結局、採用かどうかの結果は一週間以内に連絡があるとのこと。
ひとまず、今の仕事に戻ります。
さて。
どうなりますでしょうかしら。