こぎ母がショートステイから帰って来ました。
前回初めて1泊2日で利用したときはなんでもなく帰って来ましたが、今回は初めての2泊3日。
お昼に出発してお昼を食べたらささっと帰ってくるスケジュールですが、2泊3日の外泊はこぎ母にどんな刺激を与えたのでしょうか。
施設は「バナナ苑」と呼ぶことにします。
帰宅後に着替えも済ませて一息つこうと、みんなでおやつをつまむことにしました。
前回までのお話しはこちら。
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ショートステイ。初めての2泊3日①|らっこ
要介護2のこぎ母が、ショートステイを利用するようになりました。 施設は「バナナ苑」と呼ばせていただきます。 初めての時は1泊2日。 お試し利用といった感じで1泊お世話になり、また利用させてもらおうと、 ...
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ショートステイ。初めての2泊3日②|らっこ
要介護2のこぎ母が、ショートステイを利用するようなった時のお話しの続きです。 前回は、こぎ母が帰ってきたところまで書きました。 施設は「バナナ苑」と呼ばせていただきます。 今回は帰ってきてからのお話で ...
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ショートステイ。初めての2泊3日③|らっこ
こぎ母がショートステイで初めての2泊3日を経験して帰ってきて、ちょいちょい気が付くことがありました。 こぎ父がこぎ母の着替えや目薬を差したりあれこれしている脇で、ツレとらっこは荷物を整理しようとしてい ...
疲れてぐったりというのでもなく、元気がないというのとは違うのですが、ぼうっとしていてします。
楽しい時間を過ごしてきたあとの人の表情のようには見えませんでした。
こぎ父は、今さっき済ませた着替えや洗濯物の片づけをしてくださっていたのでしょうか。
なかなか一息つきにやってきません。
3人でお茶を飲みながらツレが尋ねました。
バナナ苑で何をして過ごしたのかは、報告用紙には一筆も記されていなかったので記憶しているか怪しいですが、直接本人にインタビューです。
あら。
何をしたのかはわかりませんが、大勢いるところにいるように言われて、特にやることもなくぼんやり過ごすような時間があったのかなあと、想像してしまいました。
想像ですけど。
そこにいるしかない状態……?
バナナ苑からは何をして過ごしたのかといった報告は一筆もなかったので(何度でも言う。何も書いていなかった)、想像するしかないわけです。
ツレが用意してくれたお茶と初物の干し柿を食べているうちに元気になってきたのか。
急にたくさん話し始めました。
こぎ母が「おじいさん」と言って話す人は、ツレにとっての「おじいさん」のことのようらしく、おそらくこの話の「おじいさん」とは、こぎ母の実の「お父さん」のことだと思います。
こぎ母の話だと、バナナ苑にある桜の木は、実は自分のお父さんが植えた木なんですよ、と看護師さんに話して来たのよ、ということらしかったです。
思うのは自由です。
はい。
そうだったんですね。(もちろん事実ではない、はず)
今は秋。
桜の花が咲くような季節でもないので、花は見ていないんじゃないかと思いますが、紅葉がきれいだったのでしょうか。
わからんけど。
こぎ母の言うおじいさんが、いつの頃なのかわかりませんが、当時、こぎ母の地元に病院ができる時に、なんらかの形で携わったらしいことと、その病院なのかどこかに桜の木を植えたらしいことは事実のようです。
たぶん。
ですがまあ、おじいさんが関わった病院はこぎ母の地元・宮城県の病院。
バナナ苑は横浜。
記憶と現実とが混ざり合ってしまっているらしいことはよくあることです。
こぎ母の頭の中は、時間も距離も一瞬で飛び越えます。
こぎ父は「妄想」という言い方を一時期していましたが、こぎ母の「思い出話」をバナナ苑でも披露してきたらしいことがうかがえました。
『バナナ苑の窓から見える桜の木を「ご自分のおじいさんが植えた桜の木だと思う」と嬉しそうに自慢げに話してくださいました』
報告書にはこんな一筆、確かに書かないか……
「あの木は確かに、おじいさんが植えた木だと思うよ!」
こぎ父の分にと用意しておいた干し柿は(ひとり1個ずつ)、こぎ父がいつまでもやってこないからと、こぎ母がそっと自分の方に寄せてもぐもぐと食べてしまいました。
そんな様子を、ツレと笑って見ていました。
いつものペースに戻ってきたみたい。
好物の干し柿効果なのかお腹が空いていただけだったのか。
家に帰りつく1~2時間前に昼食を食べたばかりだったとは思うのですが、帰り支度が慌ただしくて昼食は食べきれなかったのかしらとか勝手に想像です。
おやつとおしゃべりで気分も切り替わったのか、その後、またいつも通りに夕飯の支度もしてくださいました。
ツレが農家の直売j所から買って来てくれたミニ大根を、どうしても生で食べたいと言って大根おろしにしてくださったのですが、めちゃんこ辛い。
見慣れない小さな大根だったので、らっこはショーこん(小根)と呼びました。
農家出身のこぎ母は小根を見て
「これは生で食べるのがおいしいんじゃない?生で食べよう」
と嬉しそうに元気な声で話すのですが、なんだか辛そうな気配を感じて試しに、3人で少しずつかじってみたのですが、期待と想像通りもんのすごく辛いんですね。
わりと辛いものが平気なツレでも辛いというくらい辛い。
「辛いからお味噌汁に入れようよ。あんまり辛い大根おろしは、食べられないんじゃない?」
ツレが何度も言って「そう?それならお味噌汁に入れるね?」と納得してくださったかのように見えたこぎ母でしたが、やっぱり生で食べたかったのでしょうか。
しばらく後に様子を見てみたら、小根、見事に大根おろしになっていました。
色が特段に白くてきれいな大根おろしでした。
ふふふ。
こぎ母がご自分で作った大根おろし。
夕飯の時、結局こぎ母はひと口も手を付けていなかったこと……らっこは知っている……
だから辛いって言ったのよ。
辛味が抜けた次の日に食べましたとさ。
また、いつもの日常に戻ります。
利用状況の報告書に、もう少し詳細を記入してもらえないだろうかとお願いしてもいいのでしょうか。
毎週通っているデイサービスでは、数行ですが連絡帳に「何をしてどうだったか」との記入をしていただいているので、比べてしまいます。
帰宅してからの話のネタが本人の記憶頼み。
その記憶は正直とても、あやうい。
今は体は健康なので極端に心配はしていませんが、バナナ苑にいる間に何かがあった時、本人の様子にしても何をしていたのかといった内容にしても、バナナ苑で記録がされているのだろうかというあらぬ心配が浮かびました。
ひとりの人が付きっきりというわけでもないでしょうから、引継ぎとか大丈夫なのかなみたいな……
ケアマネージャーさんにきいてみようかどうかとか……
ご本人にとって、居心地悪く過ごすような時間が長くなければ、それでいいのかな?とか?
ひとり悶々とするのは時間がもったいない。
こぎ母が強く嫌がるような様子でもないので、また月に1度か2度程度、バナナ苑を利用していけたらという計画です。
こぎ母がいない間の静けさには、寂しさも気楽さもどちらもどっち。
あっという間でもあり、それでも一息付けたような気分になれました。
お互いの休息になってればいいなと。
そこです。
お互いに。
こぎ母がふたつ食べてしまったため、初物の干し柿を食べ損ねたこぎ父でしたが、こぎ母を迎え入れた様子は帰ってきた安心感半分、
もう半分は、目が離せない日常に……
どんな言葉で表現したらいいのかわかりませんが、半分半分なように感じました。
半分半分だったのは、らっこだったのかもしれませんけど。
初めての2泊3日過ごしたショートステイのお話はここまでにします。
読んでくださりありがとうございます。