ある日の午後1時半ごろ、こぎ母がショートステイから帰って来ました。
雨の切れ間に買い物に行っておきたかったので、着替えが済んだこぎ母とお茶を飲んでまったりしてからツレと2人で出かけるつもりでした。
こぎ母はご機嫌斜めモード。
(大好きな)こぎ父と会えて安心してほっとして甘えが出たのかな……?
自分にはかまってくれるなとツレを追い払いました。
結局、こぎ母はお茶を飲むことはなく、ツレとらっこは買い物に出かけました。
帰宅すると、こぎ母はお昼寝中。
冷房を入れていない締め切った部屋で寝ていたようで、ツレが冷房を入れたのかしら?
しばらくするとこぎ母がこぎ父を呼ぶ声が聞こえてきました。
2階で洗濯物を干していたこぎ父が下りてくると「トイレに行きたかったんだねえ」とこぎ母を立たせて連れて行こうとしました。
膝立ち状態のままで立ち上がらないこぎ母。
「寒い」と言いながらこぎ父に詰め寄ります。
場所が変わって記憶がなくて自分が「わからないこと」に気が付いて、ものすごく不安になったのでしょうか。
らっこに対しては、こういうことは尋ねないんです。
こぎ父が駆けつけるより前に、らっこがどうしましたか?と声をかけていたのですが、らっこには尋ねない。
信頼している人にしかきかないんですよね。きっと。
こぎ父は、本当のことと脚色を混ぜて優しく説明していました。
らっこがいたところで結局、こぎ父の負担は減らないという現実……
こんなこともあるからか、こぎ父はこぎ母をショートステイに行かせることにあまり乗り気でない気持ちになることもあるのかもしれません。
こぎ父が、こぎ母に家に帰ってきたことやリハビリのためにお泊りしてきたんだと言ってもなかなか納得できないこぎ母。
こんな時には話題をそらしましょう。
スーパーで買って来たばかりの梨をらっこがむいて、みんなでおやつです。
こぎ母は、あまり冷えていなくて生ぬるい梨を食べながらツレと話をして(自分の年齢、いつ病気したのか、おじいさんやおばあさんは生きていないのか、親戚のこと、友だちのことなどなど)少し落ち着いたようでした。
「お父さんの人生を狂わせちゃった」
「こーぎーの人生も狂わせてしまって。らっこさんが一番苦労したでしょう。らっこさんのご両親もどんなに心配したことか。どうもありがとうございます」
こぎ父に対する申し訳なさや周りの人への感謝の言葉を口にできることって、凄いなあと思います。
自分自身がどういう状況なのかを理解できないでいることはもうずっとなので、この先もそうかなと考えますが、周囲の人間に負担をかけさせる状況であることはずっとご本人の中に認識としてあるみたいなのです。
「パッと逝ければよかったのに。神様は意地悪だよ」
ご機嫌斜めモードの時によく出るフレーズです。
どんな思いでそんな言葉を発しているのでしょう。
もしかすると、返してもらいたい言葉があって励ましや慰めを受けたいとか?
らっこは黙って聞いているだけなので、対話はツレにお任せです。
本当に、ツレもこぎ父もよく対応していると本当に感謝しています。(らっこがそんな気持ちになります)
梨と一緒にこれまたスーパーで買って来たおはぎを食べながら、こぎ父が来るのを待っていましたが、こぎ母の帰宅後の片づけ作業のために結局来られず。
気分が少しはほぐれたこぎ母に、そのまま夕ご飯の支度をお願いしました。
ご自分のやること・やれることがあるかと思うと、それだけでもやる気が出ているような様子でした。
ショートステイの食事は自宅で食べるよりも量が少ないのか、ここ何回かのショートステイからの帰宅後、しばらくは食べる量が減っていたこぎ母でした。
減っても栄養は摂れているだろうとは思いつつ、食欲が出るごはんにしようと考えて、この時はこぎ母の大好物のかつおのたたきを山盛り用意してみました。
四人分ですよ?一人分じゃないですからね~。
カツオが山になっているのは、中に玉ねぎのスライスでかさ上げしているからです。
紫蘇の葉っぱは、ツレが庭から摘んできてくれたものだったりします。
いただきま~す。
カツオ作戦大成功?
こぎ母のお腹がびっくりして調子悪くなりやしないかと心配になるくらい、よく食べてくださいました。笑
ごはんの前におはぎも食べていたんですけどね。カツオにありがとうって言いましたよ、らっこってば。
好きなものをおいしく食べられるときに食べてもらえて、らっこも嬉しいです。
ごちそうさまでした。
カツオのおかげ(?)でご機嫌斜めモードもなんのことやら。
誰もお腹を壊すこともなく、また日常が続きます。
「わからないこと」が「わかった」時には、またどうしようもなく不安になってしまうのでしょうけれど。
読んでくださりありがとうございます。