介護 暮らし

要介護2の母と暮らす家族のとある1日|2年経ってわかったこと

母親

現在要介護2の母親は時間の認識が大きくずれていたり、自分が現在いる場所がわからなくなることが増えてきました。

母親の介護を始めた当初は、そんな母親を家族がうまく受け入れることができませんでした。

私自身もイライラしたり、親父も時に母親を叱りつけるような状況になったこともあります。

母親が脳内出血を起こしてから約2年。

ようやく現在の母親の状態を、「歳相応なんじゃない?」と家族全員が思えるようになりました。

デイサービス、リハビリなどがなく、母親が1日を自宅で過ごす、とある土曜日の我が家の様子を綴ってみました。

これから家族に要介護者を迎え入れる方などに読み進めていただければと思います。

AM 6:00 一番起きは父親

我が家で一番の早起きは親父です。

母親のデイサービスがある日は5時半ごろには起きているでしょうか。

目覚まし時計は使っていないようですが、だいたい6時過ぎぐらいに親父が居間の雨戸を開ける音が聞こえてきます。

母親はもともと眠りが深いほうなので、雨戸を開ける音程度で目が覚めることはないようです。

デイサービスなどの予定がない日は、母親は8時ぐらいまで寝ていることもあるようで、もともとのおおらかな性格が今も健在なのが、家族にとっては何よりの救いでしょうか。

一時は左半身麻痺になり車いす生活も覚悟したのですが、明るく笑う元の母親に戻って本当に運がよかったのだと思います。

 

AM 7:00 朝食の準備と洗濯

お米を研いだり、野菜を切ったりといった食事の下ごしらえ、食後の皿洗いは母親の仕事になっています。

ただ、火を使ったり、味をつけたりといったことが以前のようにはできなくなってしまったので、朝食の準備は親父がしています。

朝食の準備をしながら洗濯機を回すのが、親父の日々のルーチンワークです。

この時間、深夜に仕事をする私と連れはまだ就寝中なので、朝の親父の負担はかなり大きいはずです。

私と連れの集中して仕事ができる時間、親父の自由時間の確保が、現在の我が家の課題でもあります。

 

AM 7:30 朝食

母親は着替えにも介助が必要で、洗濯ものを干し終えた親父が母親を起こし、母親の身支度にとりかかるのが7時前後。

二人して朝食を食べ始めるのが7時半ごろでしょうか。

私と連れは両親が寝静まった深夜にまとめて仕事をする関係上、起床時間が10時ごろになっています。

朝食を終えるとデイサービスがある日は母親の身支度を始めますが、そうでない日は母親が皿洗いをし、父親が洗濯ものを干すという感じです。

母のペースに合わせていたら何をするにも時間がかかりすぎてしまうので、母の行動のペース配分を家族が少ししてあげる必要があります。

 

AM 11:30 前日転倒の親父を病院へ

この記事を書いているのは土曜日なのですが、前日庭木の剪定をしていた親父が滑って転び、腕に出血、足を打撲する大けがをしました。

夜になって眠れないほど痛み出したらしく、とりあえずは痛み止めでしのいだのですが、翌日も足を引きずって歩くほどだったため、念のため病院へ連れていくことにしました。

痛み止めと化膿止めの処方で済み、骨にひびなど入ってなくてよかったです。

午前中だけでも土日やっているかかりつけ医はありがたいですね。

父も82歳なので、いつ何があってもおかしくない年齢です。

さすがに私と連れの二人だけで両親の介護となれば、無理があるんじゃないかと思っています。

そのあたりの準備を現在先送りしているのですが、私と連れのもっとも大きな心配ごとのひとつです。

 

AM 12:30 昼食

デイサービスのない日の昼食は、両親と私と連れの4人で一緒に取ります。

両親が好き嫌いなく何でもおいしそうに食べてくれるのは、我が家の料理人である連れにとっても嬉しいことんじゃないかと思います。

特に母親は好物を本当に美味しそうに食べてくれます。

昼食を終えたら母の大切な仕事のひとつ、皿洗いが待っています。

母からは「忘れていたら教えてね。」と言われています。

台所に立つというのが、母の生きる自信につながっているのではないかと感じています。

食事が終わりに差し掛かるころ、「そろそろ洗い始めようかしら。」と母自らが皿洗いを買って出ることが多いです。

皿洗いが自分の仕事であることを忘れてしまうことも多いのですが、教えてあげると「そうだった。」とすぐに思い出したり。

母は現在82歳ですが、まぁ皿洗いを忘れるなどは歳相応でしょう。

我が家は全員が予防歯科に通うほど、口腔ケアに積極的に取り組んでいます。

その甲斐あって、82歳の両親ともに固いものも全く問題なく食べられるのが何よりの幸せです。

なので、そんな食生活が長く続けられるよう、母の食後の歯磨きも徹底しています。

ソニッケアーの使い方も体が覚えているのでしょうか、一人で器用に歯磨きをします。

たまにスイッチの入っていないソニッケアーでゴシゴシ磨いていたりもしますが・・・。

手磨きよりもきれいに磨ける電動歯ブラシ、おすすめです。

 

PM 13:30 ネットショップの発送業務

母の皿洗いを後ろで見守りながら、私は運営するネットショップの発送業務、オークションの発送業務など、仕事部屋以外でもできる仕事を台所専用のノートパソコンでこなすようにしています。

皿洗いとはいえ、家族の誰かが母を見守らないと、やはり心配です。

以前はある程度母を一人にしていたのですが、どこにどのお皿をしまうのかわからなくなったりして、困ったまま作業が中断してしまうこともよくありました。

「それはそこだよ。」などと、ほんの少し手伝ってあげるだけで、時間をかければちゃんとお皿洗いも、しまうことも母は一人でできるんです。

 

PM 14:30 歯医者へ

今日は3ヶ月ごとの私の歯科定期検診。

もう10年来通っている、車で片道1時間ほどの歯科医院へ。

口腔ケア指導とクリーニングで1時間ほど。

この歯科医院へは家族全員が通っていて、母の検診日には私が付き添います。

両親も10年来この歯科医院に口腔ケアをしてもらっているおかげで、なんでも好きなものを食べることができています。

できる限り、この歯科医院に母を連れてきてあげたいと思っています。

 

PM 17:00 夕食の準備

お米研ぎ、みそ汁の下ごしらえ、キャベツの千切りが今日の母の夕食の準備。

家族が交互に台所に顔を出しながら、母の様子を見守ります。

私は庭の畑の手入れ、連れは自分の仕事、父親は母の入浴の準備をすすめます。

家族の誰かしらが常に母の様子を見守りながら、それぞれ自分の仕事をこなす・・・。

家族に要介護者がいると、要介護者を中心にした生活スタイルにならざるを得ないのが現実ではないでしょうか。

母がリハビリテーション病院を退院してしばらくは、以前と変わってしまった母への戸惑いを家族全員が感じていたものです。

ただ、そんな母と2年ほど暮らしてみると、いたって普通の82歳のおばあちゃんに思えてきました。

 

PM 18:00 入浴

ひとしきり母の夕食の準備が終わると、お風呂に湯を張り、私が母と一緒に入浴です。

母の入浴は体への負担を考えて2日ごとにしていますが、ちょうど小さな子供をお風呂に入れるイメージです。

浴室に入ってきても何をすればいいのかわからないこともあり、介護用シャワーチェアに座らせるところから誘導していきます。

「頭を洗うんだよ。」

「次は体を洗おうか。」

こんな感じで何をするのか教えてあげると、髪も体も母は自分で洗うことができます。

幸い現在は湯船への出入りも自分でできますが、自分の足で湯船から立ち上がったりすることができなくなったら、自宅での入浴は無理でしょう。

もともとお風呂が大好きだった母には、本当は毎日お風呂に入ってもらいたいのですが、本人の体への負担もさることながら、介助や準備をする家族の負担を踏まえると、我が家の場合は2日に1回ぐらいに落ち着きました。

母の入浴は私の担当ですが、お風呂から上がった後の着替えなどは父にバトンタッチして、私もそそくさと入浴を済ませます。

 

PM 19:00 夕食

我が家の夕食時間は母のデイサービスがある日は帰宅してすぐの17時ごろ。

9~16時のデイサービスから帰ってくる母は、腹ペコであることが多く、それはそれはものすごい勢いで夕食を食べ始めることもしばしば。

2日に1回のお風呂の日は19時ごろから、お風呂のない日は18時ごろから夕食になります。

大の酒好きの父親が1日のなかで唯一リラックスできる時間でもあり、夕食は1時間ほどかけてゆっくり取ります。

朝食なのか、昼食なのか、晩ご飯なのか、母は今どこにいるのかも忘れてしまうことがありますが、とにかく好き嫌いなく何でも食べてくれるのは、見ていても嬉しくなります。

人は歳を取るとだんだん子供に帰ると聞いたことがありますが、母を見ているとなんだかわかるような気がします。

 

PM 20:30 夕食後の後片付け

母が自ら「そろそろ洗い始めようかね。」と言い出すこともあれば、こちらが「お母さん、そろそろお皿洗ってもらおうか。」と促さないと、夕食後の後片付けを忘れてしまうこともあります。

体調がいい時は、デイサービスへ行ってきて疲れているはずなのに、「これは私の仕事だから。」とこちらが心配になることもあります。

心配性の父親としては、デイサービスへ行ってきた日ぐらいはお皿洗いをさせたくないようですが、私と連れは母がやりたいことはやらせてあげたいと考えています。

排水口の水切りネットも、用意してあげれば母はちゃんと取り替えられます。

本人は「私は家族に迷惑ばかりかけて何もできない。」とよく口にしますが、全くそんなことはありません。

時間はかかりますが、母が一人でできる家事は食事の下ごしらえ、後片付け、簡単な掃除、草むしりなど結構あるものです。

完璧を求めたりせず、こちらの思い通りにはいかないと思うことができるようになってからは、母の行動すべてを普通のこととして受け入れられるようになりました。

母が皿洗いをしている背中を見ながら、台所専用のノートパソコンで私は仕事を進めます。

父が自分の歯磨き、寝室の就寝準備を終えると、私と母の見守りの交代です。

私の連れも合間を縫って、母の様子をうかがいながら、色々な家事をこなしてくれています。

家族の相互協力と団結なくして、要介護者と一緒には暮らせないでしょう。

 

PM 21:30 就寝の準備

母の就寝前の歯磨きは、1日の中で最も時間をかけ丁寧に磨くよう気を配ります。

健康は食生活からとよく言われますが、好き嫌いなく何でも食べる母を見ていると、本当にそう思います。

さすがに365日というわけにはいきませんが、時間が許す限り母の夜の歯磨きには私が付き添って一緒に磨くようにしています。

まずはソニッケアー(電動歯ブラシ)で2回、その後母の指にデンタルフロスをセットしてあげると、自分で器用に歯間に通していきます。

そのあと私がもう一度デンタルフロスを通し、歯間ブラシで仕上げ、うがい薬で口内殺菌をして終了という流れです。

母が倒れる前は、母自身がこのぐらい丁寧に夜の歯磨きをしていたので、できるだけ同じようにしてあげたいと思っています。

歯磨きが終わったら顔を洗って化粧水をつける習慣は、誰に言われなくても覚えているようです。

トイレを済ませて、親父の介助で寝間着に着替えたら母の寝る準備は完了になります。

 

PM 22:00 就寝前のご挨拶

母の就寝時間は早い時は20時過ぎ、遅いときは22時過ぎになることもあります。

母の体調や夕食時間、お風呂の有無などによってその日の就寝時間は色々です。

就寝前の母が毎日欠かさず行っているのが、我が家で「ご挨拶」と呼んでいる、私と連れへのお休み前の挨拶です。

まず忘れることなく、「トントン」と言いながら仕事部屋の扉を開けて、私と連れに「今日も1日ありがとうございました。」と挨拶にやってきます。

この時の母の姿は本当に愛しく思えます。

自分が家族の世話になっていることをちゃんとわかっていて、感謝の言葉を述べに来るのです。

 

PM 24:00 夜のトイレ1回目

父親の夜のトイレは近く、睡眠時間8時間ほどに対して多い時は一晩に5~6回の時もあります。

反対に母親は朝までぐっすりの時も多いのですが、平均すると1~2回ほどでしょうか。

この時間、私と連れは仕事中なので、母をトイレに連れてくるのは父親、寝室に送っていくのが私という感じで対処しています。

眠いせいなのか、脳内出血の後遺症なのか微妙ですが、夜のトイレからの帰り道は母の足元が怪しくなることがあります。

母一人でトイレへ行って帰ってくることもできると思いますが、念のため家族が見守ることにしています。

 

AM 03:00 夜のトイレ2回目

両親が就寝した後の時間が、私と連れのメインの仕事時間になります。

私たちにとって集中してPCワークができる時間は、この時間帯しかありません。

なので自ずと就寝時間は深夜になります。

親父一人で母の夜のトイレを見守るのは負担が大きいはずです。

私たちが起きている間に母がトイレを済ませてくれると、私たちも安心して床に就くことができるのですが、こればっかりはタイミングですよね。

この日は深夜3時ごろに、両親ともに2回目のトイレがありました。

私が母を寝室に送って、私たちは朝方4時頃の就寝となりました。

 

母を2年介護してみてわかったこと

多くの方が同じだと思いますが、最初は戸惑うことばかりでした。

ある日突然、家族の介護が始まるなんて、しかも自分の身に起きるとは正直全く考えたことがありませんでした。

当時は仕事も突然うまくいかなくなり、悪いことは重なるとはよく言ったもんだと思ったものです。

ただ、要介護となった母としばらく暮らすうちに、母を歳相応と思えるようになってきました。

82歳ともなれば、そもそも行動がのんびりしていたり、忘れっぽくなるのが普通なんじゃないかと思います。

むしろ子供のように可愛く思えることもあるほどです。

確かに現在は何をするにしても母中心に考えざるを得ないですが、最近はそれが当たり前と思えるようになりました。

なので、もしも同じように突然家族の介護に向き合うことになった方には、2年ほど向き合ってみてほしいと思います。

-介護, 暮らし