そんな風に生きて行けたらと、らっこが思ったお話です。
夕飯時、こぎ母は自分が知っているいろんな人の安否をこぎ父に尋ねていました。
こぎ母が誰かの安否を尋ねるのはいつものことです。
両親、兄妹、親戚、同級生、近所の人……
出てくる出てくる今まで関わったことがあるいろんな人たちのこと。
既に亡くなっている人の安否を尋ねたり、その日に電話で話した人のことを尋ねたり。
いつもそうかというとそんなこともなく、しっかりとよく覚えている時もあり、記憶の不思議?人間の脳の働きの不思議?
不思議なものです。
こぎ母は、気になる「その人」のことは覚えているけど、「その人」との関係が今はどうなのか(今でも交際が続いているのか疎遠になっているのかとか)がわからなくなることが多いようです。
そんなことに慣れてしまっているせいか、「その人」のことをすっかり思い出せない日があると少し、そうですね、少し心配になる気持ちもあります。(何もしませんがね)
こぎ母と同い年のこぎ父はしっかりと記憶していることも多いので、「としなり」だけなのかどうかはらっこにはわかりません。
脳出血の後遺症なんでしょうか。
らっこは病院に行っていないのでわかりません。
この日は、こぎ母の同級生の配偶者さんたちの話になっていました。
「えーちゃんの旦那さんは?」
「もう亡くなってるよ」
「びーさんの旦那さんは?」
「この前亡くなったんだって?」
「しーちゃんの旦那さんは?」
「しーちゃんも旦那さんも、もう亡くなってるよ?」
「邪魔ですか?」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
こぎ父が少々酔っぱらっている気配はありましたが。 笑
ああ、そんな風に誰かと一緒に生きて行けたら、素敵なことだなあ。
そんな風に誰かと思い合えたら、争いごとなんて。
ああ、
ああ……
お二人がそんなやり取りをしていたのは、ツレがちょこっと席を外している時でした。
らっこも思うのです。
ツレがね、こぎ父が、こぎ母がいてくださったおかげですと。
思うのです。
ありがとうございますと。
読んでくださり、ありがとうございます。