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出来事は忘れても感情は覚えている、らしい(1)|らっこ

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こぎ母には、大好きな恩師がお二人いらっしゃいます。

94歳の先生と99歳の先生のお二人。

ちなみにこぎ母は83歳。

どちらの先生相手であっても、電話で話す様子は大袈裟なくらいに大喜び。

離れて暮らしているために、通話でも大いに喜んで会いたがっていたこぎ母でしたが、こぎ母が病気して3年近く。

こぎ母の体調とコロナの影響をずるずると引きずって日々は過ぎ、またいつか、またいつかと、会わずにいるうちに、否応なしに別れは訪れました。

 

こぎ母が3泊4日のショートステイに出発する日の朝。

こぎ母の同窓生から、94歳の先生(ワトソン先生)が亡くなられたとの連絡をこぎ父が受けたということです。

らっこには伝えてくださったこぎ父でしたが、肝心のこぎ母には何も伝えないつもりのようでした。

しっ
悲しんだっていいんじゃないのか…?|らっこ

それは、こぎ母が3泊4日のショートステイに出発する日でした。 こぎ父が小声でらっこに伝えてくださったのは、 こぎ母が慕う恩師の訃報でした。   「お母さんには当分――」 いつまで伝えずに過ご ...

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何も知らされずショートステイに出発したこぎ母はもちろん、何も知らずに帰って来ました。

こぎ父が、こぎ母に話をする様子はありません。

いったいいつになったら知らせるのだろうかと、らっこは少々やきもきして数日。

こぎ母がデイサービスで不在の間に、ワトソン先生のご家族からお品物が届きました。

香典返しのようです。

 

 

もしやこぎ父は、こぎ母に話すつもりはないのだろうか??

どうやらこうやら。

こぎ父がこぎ母に話す気がまったく無さそうだということをツレに話したところ、ツレがこぎ父に話をしてくれました。

 

こぎ父の話し方を聞いているとなんとなく、表面上とても軽いように見えてしまっていました。

『ちょっと厄介なことを避けるために、ちょっと今だけ(のつもりでずうっと)内緒にしておいた方が楽だろう』

みたいな。

 

ですが、ワトソン先生はこぎ母の先生でしたが、手紙や電話のやり取りはこぎ父とも一緒に夫婦ぐるみでの付き合いがありました。

面識すらないらっこでさえも寂しく感じる先生ですから、こぎ父も胸の内では思うことがあったろうと思います。

ワトソン先生のことは大事なことですから、ツレやらっこの口から伝えるというのはなにか、違う気がしていました。

嫌な役をこぎ父にやらせているようですが、らっこかツレがこぎ母に話したところで、です。

こぎ父を慕うこぎ母のこと。

こぎ父に「本当なの?そうなの?」

何度も何度も尋ねるに決まっています。

ツレはらっこが考えていた以上にずっと、こぎ母とその先のことを考えているようでした。

こぎ母の調子がいい時に、話したらいいんじゃないかと。

考えている様子のこぎ父でしたが、ツレの言葉で決心したようでした。

 

さあ、こぎ母がデイサービスから帰って来ます。

 

続きます

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