「明日が何の日か、お母さんわかる?」
今日が何日で何曜日かもわからなくなってしまうこぎ母に、こぎ父が楽しそうにきいています。
「何?何の日なの?」
「明日はね、私たちの結婚記念日なんだよ。56年目だ」
「あらーそうなの?」
そうかっ、そうでしたか。
そう言えは1年前にもそんなやり取りがあった気はしますが、お祝いらしい準備を何もしていません。
冷蔵庫もちょうど空っぽです。
隣で一緒にきいていたツレは、特に関心はなさそうです。
ちょうど買い物に行きたいタイミングでした。
「駅弁フェア」をやるとのチラシ情報。
ツレに車を出してもらい、さっそく近所のスーパーに買い出しです。
見慣れない駅弁が数種。
ワゴンに2~3個ずつ残っていました。
ひとつかふたつ買ってもらえればいいと思ってたのですが、ツレが、
「結婚記念日のお祝いに、明日食べてもいいんじゃない?
あら?
賞味期限が今日までだな?
前日祝いってことで、今日食べよう。たくさん買って豪華にしよう」
大体そんな流れで、豪華になりました。
4人で食べるのに、駅弁5種類!
うわっははーい。
お弁当バイキングです。
明石のひっぱりだこ飯。
蝦夷わっぱ。
釧路のいかめし。
北海道のたらば蟹海鮮御膳。
宮城の牛たん弁当。
牛タン弁当には加熱装置がついていて、ひもを引っ張って5・6分待つと、ホカホカのお弁当が食べられるというありがたい仕組み。
申し訳程度に、前日の残りのお味噌汁に豆腐を追加して、野菜をあれこれ細かく刻んでサラダに。
「いただきます」
珍しいあんなものやこんなものに、こぎ父もこぎ母もとても喜んでくださり、記念日当日はどうしましょうって、たぶんいつも通りです。
56年目。
おめでとうございます。
ツレと私はあと56年、一緒に過ごせるのだろうかと、そんなことを考えた夜でした。