「どうもありがとうございました」
3泊4日のショートステイを終えてこぎ母が帰って来ました。
送迎をしてくださったスタッフの方への挨拶を丁寧に丁寧にするのがこぎ母流。
こぎ母帰宅後の荷物整理はこぎ父がやってくださっています。らっこやツレに任せてくださってもいいのに、ご自分で確認をしてご自分のやり方で片づけたいようです。
片づけに忙しいこぎ父から、クシャクシャになった紙片を見せられました。
ショートステイの施設では、感染症対策のためにリハビリの時以外は部屋を出ないことと、食事も個室で孤食に変更されています。
滞在中には自宅にいる時よりも一人で過ごす時間が増えるのではないかと心配したこぎ父は、こぎ母が思ったこと・考えたことを自由に書けるようにと筆記用具を持たせるようになりました。
(らっこが提案をしたらこぎ父もそうしようと言ってくださり、施設の方も持ち込みを許可してくださいました。初めてノートと筆箱を持って行って帰った時には、もれなく鉛筆がなくなっているというおまけつき。無くなるものらしいですね。本人の管理が難しいので…別の方の鉛筆が混じって帰ってきたこともありました)
部屋の外に出る機会が少なくなるという連絡をもらった時には、「部屋にはテレビがあるのでテレビを見て時間を過ごして貰うようになるかと…」といったお話がありました。
そうは言われても、こぎ母が施設で一人でテレビ……
あまり見ていないんじゃないかと想像しています。施設では意外と見ているかもしれませんけど、自宅にいるときでも内容がわからない(理解できない・難しい)と見ていてもつまらないようです。
テレビのつけ方と消し方もわからなかったり。(こぎ父が操作は施設の方にお願いしていました)
そんなこんなでこぎ母が施設に行くと、ノートにたくさん書いて帰ってくるそうです。
(こぎ父が確認しているのでらっこはあまり見ていません)
「コロナもあって一人で過ごす時間が長いんだろうかね。ノートにはすごくたくさん書いてあるよ」とはこぎ父。
こぎ母が書いた何かだろうかと思って紙片をひろげて見てみました。
紙をひろげて裏返してみると、クシャクシャになったその紙は塗り絵のプリントでした。
プリントの無地の面にも塗り絵の面にもびっしりと
『お父さん
ごめんなさい
早く会いたい
早く会いたい
早く会いたい』
それと、こぎ父の名前も書いてありました。
普段もショートステイの時も、こぎ母は罫線入りの大学ノートを使って基本的には真っすぐ罫線に合わせて文字を並べて書いています。
文章だけでなく絵を描き込むこともあるため、ツレが無地のノートをすすめたこともありましたが、罫線があった方が書きやすいのだとこぎ母が言っていたそうです。
無地だとノートの四角を認知することが難しいのかもしれないななんて以前思ったことを思い出しました。
こぎ母の心の叫びが綴られた紙は塗り絵をしたプリントの無地の裏面。
用紙に合わせて真っすぐかけなかったことも、塗り絵の印刷面にも小さな文字で何個も何個もいろんな向きで
『会いたい』
と書いてありました。
ツレにも読んでもらうと、
「こういうの読んじゃうと、ショートステイに行かせるのもなんだかちょっと考えちゃうよなあ」
らっこの動揺をツレが言葉にしてくれました。
それでも、すでに決まっている予定をキャンセルしようという考えはらっこには、確認はしていませんがおそらくツレもなかったと思います。
だから尚更、我慢しているんだなと、我慢させているんだなと、こぎ父のことが心の支えで、本当に大好きなんだなと。
なんかそんな風に思いました。
こぎ父は思うところはあったのでしょうけれど、普通にしていましたし、こぎ母もこぎ父に会えて舞い上がって喜んでいるかというとそうでもないですし。(平然を装っているだけかしら?)
後日、月一で訪問してもらっている看護師さんにもこぎ母の(手紙?メモ?お土産!)書いた紙を見てもらったそうです。
こぎ父の話によると「こういうことはあることで仕方がない。だけどだからといってショートステイを利用しないということはしなくていいと思う」――と、そんな感じで話をしてくださったようです。
穏やかな日常が少しでも長く続きますように。
読んでくださりありがとうございます。