母と会話をすることはもうできないのかもしれない・・・。
ベッドの上で眠り続ける母を見て、親孝行らしいことを何ひとつしてこなかった自分を悔いたこともありました。
母が脳卒中で入院してから23日目、手術をしてからちょうど10日目に、母は自分の足で再び歩くことができるようになりました。
神様からのプレゼントだと思って、これから私が母にできることを精一杯してあげたいと思っています。
脳卒中で倒れた母の入院22日目~23日目の介護記録を綴っています。
入院22日目、立って足踏みができるように!
父は母の面会へ行く前に所用があるらしく、いつもより早いお昼ご飯を食べて出かけていきました。
その足で母の入院している病院へ行き、リハビリに付き添って、帰りには買い物もしてくるという、とても80歳とは思えない行動力を保っています。
今日の母のリハビリでは、片手は何かにつかまる必要がありますが、その場に立って両足で足踏みができるようになったということです。
このままリハビリを続ければ、きっとまた自分の足で歩けるようになるはずです。
昨夜は母がベッドから落ちるという騒動があったため、母に異常がないかの確認をするため父は医師に話を聞いてきました。
ベッドから落ちたことで母の状態が悪くなったということはありませんでしたが、医師から厳しい宣告がありました。
見えづらいだけかと思っていた母の左目の視力は戻らないそうです。
左目が見えなくなる代わりに、神様は左手と左足を動かせるようにしてくれたんだと、私たち家族は思うようにしています。
私は母の歯磨きを兼ねて、夕食後に病院へ出かけました。
ちょうど母が自分で歯磨きを終えたところで、口のまわりに歯磨き粉がついたままでした。
糸ようじを通してあげながら、ちゃんと歯が磨けているか確かめたのですが、ほぼ磨き残しなく綺麗に磨けているようでした。
インプラント治療を受けてから、母は歯をとても大事にしてきたので、入院中の口の中の衛生には私もできるだけ気を遣ってあげたいと思っています。
今日は少し早めに病院へ行ったので、母と話す時間もたっぷりとあり色々な話をしてきました。
だんだんと力も入るようになってきた左手が、白くカサカサしているようだったので、母が家で使っていたハンドクリームを明日持ってくることにしました。
そのハンドクリームが家の洗面所の下に置いてあることもきちんと覚えていました。
食事の話になって、何か食べたいものがないかと聞くと、新鮮な果物が食べたいと言いました。
リンゴかみかんのどちらがたべたいかと尋ねると、『みかんがいいね。』とにこにこ笑いながら答えてくれました。
明日、父にみかんを持たせようと思いますが、病院からOKが出るでしょうか。
夜遅くに私の弟から、今週は母に会いに行けないと電話がありました。
弟は自分が顔を見せれば、少しは母が元気になるだろうと、弟なりに気を遣っているようです。
母が入院してから22日間、体を一度もゆっくり休めていない父が調子を崩さなければいいのですが・・・。
母との面会の帰り際、私の連れにもちゃんと休む時間を作ってあげるようにと釘を刺されました。
父と連れ、そして私の誰かがもしも体の調子を崩したら、おそらく今の我が家の生活は成り立たないと思います。
介護というのは一緒に暮らす家族全員の生活を大きく変えてしまうのものだと、現在痛感しています。
入院23日目、母が歩く!
いつも通り、昼食を終えた父は母の様子を見に病院へ出かけていきました。
昨日の夜、私が歯磨きに行ったときに母からリクエストがあったみかん、ハンドクリームを父に持たせました。
みかんについては、看護師からOKをもらったようで、4房ほど食べたようです。
母のリハビリに付き添ってから帰宅した父によると、今日は左足に装具をつけて4歩ほど自分の足で歩けたようです。
まだ伝い歩きしかできないようですが、リハビリを続ければきっと歩けるようになるんじゃないかと思います。
今日は母の転院先候補の病院からも担当者が母の様子を見に来ていたらしく、『全然歩けるようになりますよ。』と父に話していたそうです。
母の伸びた爪を切ってあげたくて、私は夕食後に病院に出かけました。
みかんを食べたことは覚えていたのですが、自分の足で歩いたことは忘れていました。
母の左手の爪を切っていたら、私の爪切りの使い方が悪かったのか、母が突然『痛い!』と言ったため、私のほうがびっくりしてしまいました。
触っても反応がなかった左手が動かせるようになって、感覚が戻ってきた証です。
面会時間の終わるころ、『ウンチがしたい。』と言い出したため、看護師さんを呼びました。
いつもの差し込み便器ではなく、車いすが用意され、病室のトイレで用を足すことになりました。
ベッドからトイレへ母を連れていくところまでは看護師さんがひとりで対応できたのですが、母を立たせたまま寝間着やおむつを脱がすにはもうひとり必要だったため、私が手伝うことになりました。
母をトイレに座らせても、自分がトイレに座っていることがまだ完全には認識できていないようでした。
用を足し終わると私が母を支えている間に、看護師さんが排泄後の処理をしてくれ、再びベッドに戻りました。
女性のトイレの介助をしたことがなかったので戸惑いましたが、今後はこのような介助を家族がしていくんだなぁと実感しました。
ひとつ心配なのは、看護師さんが母の排泄の後処理をしているときに不正出血があったようです。
母は脳卒中で入院する前から不正出血で同じ病院の婦人科に通っていて、脳卒中で入院したために婦人科の受診予約をキャンセルせざるを得なくなってしまったのです。
看護師さんが医師へ報告しておいてくれることになりましたが、脳卒中の順調な回復の障害にならなければと思っています。
昨日よりも私の手を握る左手の力も強くなっていて、表情もだんだん以前の母に戻りつつあるように感じます。