大好きな恩師の訃報を知ったこぎ母は、心安い御友人との電話でとうとう涙を流していました。
<前回までの話> こぎ母には、大好きな恩師がお二人いらっしゃいます。 94歳の先生と99歳の先生のお二人。 ちなみにこぎ母は83歳。 どちらの先生相手であっても、電話で話す様子は大袈裟なくらいに大喜び。 離れて暮らして ... 続きを見る こぎ父がこぎ母に、こぎ母が大好きだった恩師の訃報を伝えたお話です。 しばらくの間、こぎ母には内緒にしていたこぎ父でしたが、こぎ母に伝える決心をしたようでした。 <前回の話> こぎ母が、ショートステイか ... 続きを見る 恩師の訃報をこぎ母が知りました。 知った直後には落ち着いていたようでしたが、しばらくすると「誰が亡くなったのか」わからなくなってしまったようで、こぎ父にたくさん質問をしていました。 <前回までの話> ... 続きを見る
出来事は忘れても感情は覚えている、らしい(1)|らっこ
出来事は忘れても感情は覚えている、らしい(2)|らっこ
出来事は忘れても感情は覚えている、らしい(3)|らっこ
涙を流したこぎ母と電話を替わったこぎ父。
こぎ母には背を向けつつ、それにしても随分と明るくすっきりした調子で
??
?????
夕飯の後でお酒が入っていたから。
そうだ。きっと、お酒のせいなのでしょう。
今のお電話でそんなに明るく話すことかしら?
なんてらっこも背中越しに感じてしまいましたが、お酒だけではなかったのでしょうね。
ご自分なりのお考えでもって、こぎ母には内緒にしていたワトソン先生の訃報。
こぎ父なりに胸の内にたまってつっかかっていたものが解けてすっきりしたのかしら。
結局はこぎ父が一番抱え込んでいたんじゃないかと背中越しに感じていました。
ワトソン先生はこぎ母の先生でしたが、こぎ父とも交流がありました。
病気をする以前からのことです。
お手紙を書くことが苦手だったこぎ母に変わり、筆まめなこぎ父がワトソン先生にお手紙を書いていたこともあったそうです。
こぎ母がおかしそうに、こぎ父を含めたワトソン先生との交流を話してくださったこともありました。
それでもやっぱり、生徒だったのはこぎ母なのですよね。
こぎ母の寂しさとこぎ父の寂しさの違いを、こぎ母自身がわかっていたのでしょう。
こぎ母が一番に信頼を寄せるこぎ父であっても、ご自身の悲しみは共有できないと察したのであろうこぎ母のセンサーの繊細さ。
電話の後、こぎ母が悲しみを共有できる御友人がいてくださって本当によかったと、らっこはほっとした気持ちでいました。
御友人さんには、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
さてと。
そろそろ寝る準備をしなくてはなりません。
電話を終わりにしたこぎ母に、ツレが食後の歯磨きを促します。
ひとまず廊下に出たこぎ母でしたが、立ち止まってしまって動きません。